今さらですが「ふるさと納税」を初めてやってみました。
今までの私は、なんで一歩前に踏み出せなかったのでしょうか・・・やってみるとこんなに簡単だったとは・・・皆さんふるさと納税されていますか?「めんどくさい」とか「難しそう」とか思っていませんか。
今回は実際にふるさと納税をやってみたのでその方法と感想をお伝えしたいと思います。私は楽天ふるさと納税を使ってワンストップ特例制度を利用したのですが、本当に楽天市場で買い物をするだけです。まだやった事ないという方、ワンストップ特例制度?て思った方、できるだけ丁寧に説明しますのでよかったら読んで下さいね。
結論から先に申し上げますと今やっておかないと損です。制度に少々難ありですので制度自体が変わるかもしれません。
今年こそはふるさと納税にチャレンジしてみませんか。
※書いているうちに長くなりそうでしたので2つに分けました。①制度の説明②実際のふるさと納税の方法になります。
ふるさと納税のしくみ
方法の説明の前にふるさと納税について、触れておきたいと思います。総務省のふるさと納税ポータルサイトよると以下の様な感じです。そんなのいいから方法を教えてという方は(今さらだが「ふるさと納税」をやってみた②)の項目から読んで下さいね。
ふるさと納税の考え方
多くの人が地方のふるさとで生まれその自治体で医療、教育等のサービスを受けます。もちろん税金でそれらは賄われています。
↓
進学や就職を機会に都会に移り住みます。そこで住民税等の納税を行います。
↓
都会の自治体の税収が増えます。
↓
自分が生まれ育ったふるさとの自治体には税収が入りません。
そこで、今は都会にすんでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に自分の意志でいくらか納税できる制度があっても良いのではないか!という考えから始まった制度です。「ふるさと」と言っても本当の自分の出生地でなくても構いません。
ちなみに今(2019年12月現在)の安部政権の菅官房長官が生みの親とされています。
自分が支払っている税金の一部を応援したい自治体に渡すという事ですね。
納税じゃないの?
ふるさと納税は納税という言葉がついていながら、納税ではなく自治体への寄付になります。その寄付金額の一部が所得税及び住民税から控除(無かったことになる)されます。原則として自己負担額の2000円を除いた全額が控除の対象になります。ですので、その年の所得税が控除分返金され、翌年の住民税が控除分安くなります。あとで述べますがワンストップ特例制度を利用すると所得税の返金ではなく、翌年の住民税が安くなります。
もともと寄付をすると税金が控除されます。みなさんも有名人が「○○財団」に寄付したとか聞いたことありませんか。寄付をすると所得税が一部控除されます。それが寄付金控除です。これを住民税に対する控除(確定申告の場合は所得税も含む。)としたものがふるさと納税となります。
返礼品
今までの説明ですと「自己負担の2000円分損するじゃないか」と思いますが、そうではないんです。ふるさと納税をすると返礼品(お礼の品)がもらえるんです。2019年度からは返礼品金額はふるさと納税額の3割を上限とする事に定められました。
高額の返礼品が問題となっていますね。皆さんもニュースでご覧になった事があるのではないでしょうか。
確かに本来の趣旨とは違う方向に進んでいる様に思います……
いくらでもふるさと納税できるの?
2000円の自己負担で税金が控除されて返礼品がもらえるんだったら、「いっぱいふるさと納税したら控除が増えて得じゃないの」という声が聞こえてきそうですが、控除される上限が決まっています。年収と家族構成によって変わりますので下記の表を参考にしてください。
大体ですが自分が支払っている住民税の2割が控除されます。
住宅ローン減税を受けていたり、医療費控除を受けていたりすると変わりますので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせ下さい。
<総務省ふるさと納税ポータルサイトより出典>
また総務省のサイトに「寄付金控除額の計算シュミレーション」Excelシート
がありましたのでよろしかったらお使い下さい。
要するにたくさん税金払っていないと税金も引けませんよね。だから納税金額が多い人程控除額も多くなります。上記の表は途中で切れていますが、この表の一番下に記載されているのは年収2500万円で控除額は84万9千円になっています。
84万円もの返戻品を受け取る事が出来ます。
ですのでお金持ち優遇の制度という事で叩かれている側面もあります。まあそれだけたくさん税金を納めているんですけどね。
さらに平成27年からは制度改正により控除額が2倍になっています。3万円の2倍と30万円の2倍では雲泥の差ですよね。その時ワンストップ特例制度もできました。後ほど説明します。
どんな方法でふるさと納税できるの?
- 自治体と直接やりとりする。
- ふるさと納税のサイト(さとふる、ふるさとチョイス、楽天ふるさと納税等)※みなさんほとんどこの方法と思います。私もこれです。
- 災害義援金もふるさと納税になります。下記参照
ふるさと納税できる期間は?申請方法は?
その年の1月1日から12月31日までの期間でふるさと納税できます。その翌年の確定申告で申請をするか、ワンストップ特例制度利用の場合は翌年の1月10日までに申請書を送る必要があります。
ワンストップ特例制度
会社員にとって確定申告ってあまり馴染みがありませんよね。当初ふるさと納税は確定申告をして利用できる制度でした。それが平成27年から確定申告しなくてもふるさと納税を受けられる様になりました。
どの様な方法かというと下図の様になります。
<総務省ふるさと納税ポータルサイトより出典>
この図でも解りにくいので順番に書いてみます。
- ふるさと納税を行います。※各ふるさと納税サイト等を利用
- しばらくすると、ふるさと納税先の自治体から寄付金受領書とワンストップ特例申請書及び返礼品が届きます。
- 届いたワンストップ特例申請書に必要事項を記入して返送します。
- ふるさと納税先の自治体があなたの住んでいる市区町村に連絡します。
- 翌年度分の住民税からふるさと納税した金額の内2000円を除く額が減額されます。
※サラリーマンでしたら給料から住民税が天引きされていると思います。毎年6月頃に勤務先の会社に住民税決定通知書が送られます。会社経由でもらえますのでそちらに住民税の金額が書いてあります。減額されているか確認して下さい。
以上ですが注意点があります。
- 5団体以内の適用になります。6団体以上になると確定申告を自分で行います。
- ふるさと納税を行った翌年の1月10日までにふるさと納税先自治体に申請書が必着していないと受付されません。それ以降になると自分で確定申告しないといけなくなります。
- 申請書類の不備が無い様にして下さい。控除を受けられなくなる可能性があります。
ふるさと納税利用者の推移
ふるさと納税は平成20年度から始まったのですが当初は利用者も非常に少ない状況でした。今では大幅に増えました。下記は<総務省ふるさと納税ポータルサイトより出典>です。
平成20年度は納税受け入れ額にして81憶4000万円でしたが、10年後の平成30年度は5127憶1000万円と約63倍になりました。やはり制度が変わった平成27年度からは急激に伸びていますね。5127憶円の約1割がI市です。おっと口がすべりました。
利用者人数はと言うと下記になります。これも<総務省ふるさと納税ポータルサイトより出典>です。
字が小さくて見えにくいと思いますが、平成21年度が3万3千人、令和元年度は395万2千人です。実に約120倍になりました。※()内の数字はワンストップ特例制度適用者です。
開始当初に比べればかなり増えてきましたね。ただし日本の就業者数は総務省統計局の2019年労働力調査によると6762万人ですので、労働者の内のたった5.8%しか利用していないんですね。こう考えるとまだまだ利用されていませんね。
ふるさと納税の賛否
ふるさと納税は賛否両論さまざまな意見が交わされています。以下には良い点・悪い点をまとめてみました。制度としてのものですので個人の損得は入れていません。
- 成長して故郷を離れてもその地域に貢献できる。
- 生まれ育った地域で成長するまでに教育などに使われた税金の回収ができる。
- 返礼品はその地域の特産品と定められているので地場産業の活性につながる。
- 災害等の寄付もふるさと納税の適用になるのでより支援が集まりやすい。
- ふるさと納税を利用している人は安く自治体の行政サービス利用できる事となり、利用していない人との平等性に欠ける。
- ふるさと納税による減収分が多い場合、本来できていた公共サービスが実施できない可能性がある。
- 自治体の税務の業務負担が増える
- 制度利用者の関心が返礼品中心となっており、本来の趣旨より逸脱している。
以上私なりに調べてみた所をまとめてみましたが、この他にも様々な意見があります。私自身も正直返礼品めあてになってしまっている所があります……
制度自体も、もう少し見直しが必要と思いますが、利用できる制度がある以上利用しないと損とも思います。別に法を犯している訳でもなんでもなく。国の制度に乗っ取って利用するのですから活用するのみです。
まとめ
以上ふるさと納税のしくみについてご説明させていただきました。まとめると下記になります。
- 本来の趣旨は都会で住んでいる人が故郷に貢献できるように制定された。
- 返礼品がもらえてお得。
- ワンストップ特例制度で確定申告いらず。
- 利用者は増えているが、制度の問題も……今後の課題。
一納税者としては利用しないと損だと言い切れる制度だと思います。ただ返礼品の金額や品をめぐって様々な問題点、議論が交わされています。来年(2020年の1月には)泉佐野市が新制度から除外された事を不服として訴えている訴訟も判決が下る様です。今後を見守っていきたいと思います。
追記:2020年1月30日大阪高裁にて棄却されました。
2020年3月現在こんなことになっています。泉佐野市、また特別交付税減額 ふるさと納税で3回連続<朝日新聞 2020年3月27日より引用>
長文になりましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。m(__)m