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同一労働同一賃金の落とし穴

落とし穴

同一賃金の落とし穴

2020年の4月から働き方改革関連法の改正あります。それに伴い同一労働同一賃金ガイドラインが制定されました。正社員と非正規雇用労働者の格差是正は実現されるのでしょうか。今回はその副作用、抜け穴的な部分に視点を置いて問題点を探ってみたいと思います。

正社員の給料が下がる

会社は人件費を予算計上しています。これは固定費になりますのでこれからずっとかかってくるものです。皆さんの会社も毎月、毎年かかっている固定費を削減しろといわれた事はないでしょうか。会社にとって固定費が上がるというのは一番避けたい所なのです。

よく言われている事が、正社員の待遇を下げて非正規労働者に対して上がった分の人件コストの帳尻を合わせる方法です。実際に2018年の春闘で下記の様な事が起こっています。

朝日新聞記事

<朝日新聞2018年4月13日付けの記事より抜粋>

正社員の住宅手当等が廃止される事が2018年の労使交渉で決定しました。労働組合側がなぜこの様な事を許したのかは疑問が残ります。

同一労働同一賃金の格差是正のために他の企業もこの様な動きが出てもおかしくありません。ちなみにガイドラインには次の様な事も書かれています。

ガイドライン正社員待遇下げ

<厚生労働省HP 同一労働労働同一賃金ガイドラインより抜粋>

労使の合意の無い待遇の引き下げは問題がありそうですが、日本郵政の場合は労使交渉の結果で定められた事ですのでこれに該当しません。

ただし合理性の無いものに関しては労働者側の求めがあれば、会社には説明義務があります。これを怠ると行政指導、最終的には司法判断となる恐れがあります。

リストラ

上場企業を中心に業績が良いのにリストラが増えてきています。下記は報道の一部です。この様な記事がネット検索すればゴロゴロ出てきます。東京商工リサーチ2019/12/6配信の記事によれば早期希望退職の件数が前年度比の3倍になっているとの事です。

もちろん早期退職にはいろんな要因があると思われますが、来年度の法改正も一つの要因になっていると思われます。今後もあらゆる業界でリストラが増えてくる事は間違いないようです。

読売新聞オンライン

<2019/12/3 読売新聞オンラインより参照>

東京商工リサーチ記事

<2019/12/3東京商工リサーチ配信より参照>

派遣切り

派遣切り

実際に以前労働者派遣法の改正で同一の職場での勤務は最長3年までとなり、それを超える場合は派遣先での直接雇用とする事になりました。その施行から3年目となる2018年9月を目前に下記のような事が起きました。

派遣切り①

<西日本新聞 2018年7月16日記事より抜粋>

今回も改正前の雇止めが横行しそうです。今回の改正は派遣社員にとってはかなりの待遇改善になっています。詳しくは別記事<同一労働同一賃金の派遣社員「労使協定方式とは」>にまとめていますのでよろしかったお読みください。

派遣社員の待遇を決定する方式で労使協定方式というものがあります。大半がこの方式になると言われています。なぜか知りたいという方は先程ご紹介した記事をご覧ください。

最低限守らないといけない内容を要約すると次の3つになります。

労使協定方式の要点

  1. 雇用地域の一般賃金を採用、年次ごとの昇給あり
  2. 通勤手当支給
  3. 時給換算の退職金支給

 

 

この内容を遵守すると派遣元の人件費コストは確実に上がり、派遣先へ派遣料金のアップをお願いする事になります。そうなってくるとそもそも派遣社員はいらないのでもういい、となってしまいかねません。労働力が減った職場では残った社員がサービス残業をする事になるでしょう。

 

無期雇用フルタイム労働者とは

今回の法改正は非正規労働者を対象にしていますので正社員は対象にはなっていません。ガイドラインには正規労働者は無期雇用フルタイム労働者と定義されています。これには正社員、限定正社員となっています。

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

<厚生労働省HP 同一労働同一賃金特集ページ リーフレット雇用形態に関わらない公正な待遇の確保より抜粋>

私はこれに無期契約社員が含まれる可能性があると思っています。無期契約社員とは2013年の労働契約法の改正に伴ってできた雇用方式です。5年以上勤務した契約社員は今まで通りの有期契約か無期の契約かのどちらかを選択します。無期契約を選択すると雇用期間は安定しますが、ほとんどの場合待遇に変化はありません。

無期契約社員の契約更新は無く雇用は無期となります。これが無期雇用フルタイム労働者にあたると思われます。待遇は正社員と大きく違い今回の法改正では対象にならない、まさに取り残された存在と言えます。

ただ同じ職場に有期契約社員と無期契約社員がいた場合、有期契約社員の待遇はよくなり無期契約社員はそのままというのは考えにくくトラブルをまねく恐れがありますので、同様の待遇改善をされるケースも多いと思われます。

まとめ

まとめ

今回の法改正で逆に待遇が悪くなったりしたら本末転倒です。企業側は法改正の趣旨である雇用形態による待遇差を解消するため、実効性のある改善を本気で取り組んで頂きたいです。

とはいえ、正社員と非正規労働者間の待遇差が全く無くなる訳はありませんので、この機に労使間、社員間で役割、分担などを確認し個々がやるべき業務を明確に規定する事も必要と思われます。

働いた分は給料をもらう。自分のやるべき仕事を行い。サービス残業などしません。仕事が終わったら自由な時間を過ごす。家族との時間やスキルアップに取り組んだりする。その事が仕事のやりがいになり、自分自身のステップアップとなります。そんな当たり前の事が今の日本はできていません。

国の政策が悪いと皆さん批判されるかもしれませんが、私は今までの慣習に囚われてそんな環境が当たり前になっている現状を受け入れている。労働者側にも問題があると思います。今を変えたいのであれば行動しましょう。皆さんで声をあげていきましょう。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。